波打ち際/塔野夏子
 
静かな波が 寄せては返す
白い砂浜
あまりにも明るく眩しい 夏の太陽
青い空
青い海
波打ち際の波は透明

何故この波打ち際を
歩いているんだろう
夏に海に来るのなど
好きではなかった はずなのに

何故此処にはほかに
誰一人いないんだろう
こんなにきれいな砂浜なのに

白い服と麦わら帽子で
この波打ち際を
歩いている
このきれいな青い海の中にも
何も棲んでなさそうな気がする

ただ波は寄せては返し
ただ一人きり歩いてゆく
何処までつづくかもわからない
この波打ち際を



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