風景/
ひだかたけし
この哀しみは誰のもの
其処で泣いてる子供が言う
目を閉じれば消えてしまう世界
街角では老婆が荷車を押す
お日様は雲ってどこにもいない
クモの巣が縁の下で揺れている
みんなどこかへ行ってしまった
締めのゆるい蛇口から
水がぽたぽた落ちている
わたしは病をかかえながら
異郷のような風景に
ひとり茫洋と歩み入る
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