球体の幽霊/ただのみきや
 
夜の隙間に
鎌首をもたげる呪力
目も口も塞がれて縛られたことば

窓の外からこちらを伺う
神話をもたない愉快犯
夏をまとったなにかこそ





蝉が鳴いている
夢を見ているのだ
形象をまとわない
等身大の本能だ
意味を欲しがるのは人だけ
無心で削る
いのちが鳴っている



              《2022年8月14日》









戻る   Point(3)