言ふなかれ、君よ、わかれを、/藤原 実
も与えなかった様子です。
よく、自分たちは軍国教育に洗脳されていたのだ、そして敗戦によって自分たちは目が覚まされた、というような回顧を目にするのですが、この壺田花子の戦中戦後の詩の語り口の変わりなさを見ると、軍国主義もあるいは戦後民主主義もひとを「洗脳」なんてできはしないのであり、もっと別の動かしがたいものに従ってわれわれは生きているのではないか、とふと思うのです。
そんなことを考えるきっかけとしても戦中詩を読むことは無駄ではないのではないでしょうか。
戦時中の戦意高揚詩は多くは時局に迎合したキャンペーンのように決まり文句が羅列されていて、それこそ 杉山平一の言う校歌のような、それも
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