言ふなかれ、君よ、わかれを、/藤原 実
 
と抒情の紲(きずな)に自由を縛られてゐた。しかし、わが一億國民が米英の暴壓(ぼうあつ)に抗して劍をとつて立つや、詩も新しい精神に燃えて、その紲を切つて立ち上つた。かつて、ほのかな月の光や凋れゆく花にのみ美しさを感じてゐた詩は、今や、力強い軍靴の響きと、弾幕を衝いて敵艦を襲ふ荒鷲の姿に、健康な美しさを見いだしたのである。即ち、大東亞戰を機として、詩は逞しい新精神を得たのである。そして、「大東亞戰爭少國民詩集」は、この新しい詩の精神によって生れ、しかも、その精髄を最高度に結晶したものである。こゝに、この詩集の意義がある。」


これまでの詩は青白い感傷とひ弱で不健康な美意識に縛られていたのであ
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