退屈な話/剣の女王さま
夢のなかでセットしておいたアラームで目覚める。
リビングでは既にテレビがついていて、評論家たちがタロットカードを使って、X国とY国との関係について、議論を交わしていた。わたしはホロスコープのほうが好みだったので、チャンネルを変えた。すると、とある女優が小惑星と結婚したと報道されていた。ロマンチックな恋愛には憧れる。だが、最近は、相手なしに結婚するひとも多い。確かに、そのほうが便利かもしれない。
朝食はゴッホのひまわりで済ませた。胃腸への負担が少ないのはありがたい。家を出る時刻が近づいているのに、靴下を裏返しても、裏返しても裏で、表にするのに五、六回もかかったので焦った。
今日も仕事が始まる。数学の定理について、使用許諾を取り付ける仕事だ。数学の世界に特許があるなんて、なんて面倒なのだろう。といっても、現実が変わるわけではない。退屈な、実に退屈な、日常の話。
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