【短歌祭参加作品】食卓までのディスタンス/本木はじめ
竹の子を探す少年少女らを囲む竹林千本の闇
ウミウシという生き物がいることもやがて知るのか二歳の娘
あの日きみが嫌いと言った茄子を見て疼くこころのむらさきの痣
たこ焼きのたこの吸盤さがし合うくちづけまでのひとつの蛇足
争いの終わりをつげる陽は暮れて喜怒哀楽をも越えた晩飯
ほんとうに甘いあなたは底にあり深く抱き合うプリン工場
きみの耳噛んだ瞬間思い出すナタデココとか食べた屋上
鳥たちのさえずる声に耐え切れずウグイスパンも飛んでゆく春
きみの持つかわいらしさと残忍さ白い苺のような均衡
えらばれているのか小皿へチャーハンを移す瞬間こぼれる米も
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