在る ということ〜ヘッセへの返詩/ひだかたけし
「われらには存在は与えらてない。われらは流れに過ぎない。
われらは喜んであらゆる形に流れ込む。
昼に、夜に、洞穴に、寺院に。
われらは貫き進む。存在への渇望がわれらを駆る。」(ヘッセ『嘆き』より抜粋)
*
流れ
流され
流れのなかにあって
私たちは確かに
存在している
確かに存在を与えられている
人生のある日、
ある時ある瞬間、時間は溶け
あるモノ、あるモノ、
鮮明に その輪郭を浮き上がらせるように
それぞれに 在る
私もその一部分に過ぎない
そして独立して在る鮮明なモノが
覚醒した意識のなか 繋がり合う
世界の実在性が宇
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