誰がバンビを殺したか/ホロウ・シカエルボク
 
た、わたしはそれが忌々しかった、だから、あの沼に一緒に遊びに行って、背中を押して落とした、二人はもがくことも出来ないまま沈んでいった、わたしは家に走って帰った、誰もそのことを知らなかった、二人はただ行方が分からなくなった、刑事が一度教室に来て、通り一遍の質問をして帰った、きっと見つかることはない、とわたしは分かっていた、あそこに沼があることなんてこの街ではわたしくらいしか知らなかった、沼が埋め立てられて駐車場が作られたとき、わたしは一生彼女らを殺したことを誰にも知られないまま生きるのだと愉快な気持ちになった、なのに、どうして今頃…」老婆は急に言葉を切って床の左隅を見たかと思うと、突然テーブルに突っ
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