詩の日めくり 二〇二一年四月一日─三十一日/田中宏輔
 
た。

 2作目は、J・G・バラードの「コーラルDの雲の彫刻師」短篇集『ヴァーミリオン・サンズ』の冒頭に置かれていた作品で、印象深い作品だった。文字通り空に浮かんだ雲を彫刻する3人組がいて、ある日、大富豪の女性のために、雲で彼女の顔を彫刻する。さいごに、嵐によって、大富豪の女性を含む何人かが死ぬ。

 3作目は、ロバート・シェクリイの「ひる」ウルトラQのバルンガを思わせる設定。というか、逆か。バルンガが「ひる」を参照したのだろう。物質やエネルギーを無尽蔵に吸収する怪物の話。ウルトラQの話では、怪物を太陽に引き寄せたところで終わっていたが、小説では、ひどい結果を起こす結末を見せる。


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