蓄音機を聴かせて貰ひにわざわざ出かけて行つても/TAT
ロもどきがあの頃居て
ビートルズとかストーンズとか
売れ線のヒット曲は一通り出来て
ギターケースの賽銭箱で
小銭を稼いでた
そいつに五百円とか払って
ハーモニカとセッションしてもらうのが好きで
時々ジャムってた
そしたらある夜
酔っ払いの剥げたおっさんが
寄って来て
なんか昔のロックの名曲を
ギタリストにリクエストしたから
俺は横にどいてたんやけど
一曲終わってから
ギタリストがおっさんに
千五百円要求して
いやそれは高いやろって
喧嘩になりかけて
[次のページ]
戻る 編 削 Point(3)