夜行バスと世界/
ひだかたけし
この広大な驚異の世界に開かれるため
光は奇跡的に差す
優しい無関心に微笑む世界から
溢れ零れ落ちるように
時折、突然に
繰り返すルーティンの病んだ日常に
それは顕れる
*
舞い散る雪が
街灯の明るみに
純白に晒され
夜行バス
俺の膝の上で眠る
愛娘
この幸福は
長くは続かないと
予感した
身体は冷え切り
意識は鮮明に覚醒し
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