解くことを諦めた知恵の輪が唯一の遺品だった/
ただのみきや
動作は記号化されて絶えず流れ
その記号は詩のように見透かせない陰影をまとう
照明が真っすぐ当たったあの能のような面差しの中にすら
わたしはわたしを放り出す 体の外へ
わたしを乗せたこの小さな世界の複製は
ことばではなくことばで型抜かれた空白に過ぎない
道化による神話遊びはそれ自体絶えず死を要求する
くべられた記号をなにかの像へと誘導する霊媒師の所業で
《2022年7月23日》
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