曇間と門前/木立 悟
 
たきと涙の飛沫
寒く哀しい日々の足音
曇が屋根に指を突き刺し
ひとつまたひとつ鳥の巣を作る


笛も翼も火も終わり
糸は午後にからみつき
曲がり角で泣く子ども
水の警告に満ちる径


門が閉じるより早く
鍵盤の音が聞こえくる
火口湖畔には選ばれた人々
ただ霧の先へと歩みを進める


茎の刃が葉を落とし
光は光に背を向ける
緑は応えを急がない
水たまりの上を昇る午後


門前の楽しげな子らの声
次の試練を告げている
空はひらき 空は閉じ
花とうたは降りつづく

















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