純粋遊戯/ただのみきや
 
なものをシゲキして
冷たい液状のジュンスイキョウフを分泌させていた

運命の巧妙な誘い
それは己の飽くなき推力
自分も知らない欲求のバタ足で
青いまま朽ちてゆく
果実の夢見る世界
彼岸から現れる
稀人を待って汀に立って
人はみな引き裂かれた半陰陽
喪失の空白を外界に投影し
性の衝動を頼りに愛を摸索して
やがて通念的美装を施した
諦念の石棺に己を閉じ込める
そう青いまま朽ちてゆく
老いた肉体に魂の爛熟
いつまでも青いまま
夢そのものを夢見ている
その夢こそ真だと
詩人たちすらもう言わないとしても



               《2022年7月10日》







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