戦争と戦争ごっこの話/ホロウ・シカエルボク
だけ書いてる暇があるのならね」俺は少しからかうような感じでそうアドバイスを送った、男はなにか言い返そうと躍起になったが、なにも思いつくことが出来ず無言で去って行った、やれやれ、俺は首を横に振った、たまに、ちょっとした集まりに顔を出してみれば、こんな目に遭う、グラスを返して外に出ることにした、ひとりで書けないならそれは詩じゃない、誰かに闘ってるさまを見て欲しいならそれは詩じゃない、店を出ると雨が降っていた、機銃掃射のような雨粒がアスファルトに風穴を空けようと躍起になっていた、雨が降るなんて夕方のニュースじゃ言ってなかった、俺はため息をついて上着を頭上に広げ、弾幕の中へと駆け出した、家に帰るころには明け方になるだろう、それでもシャワーだけは浴びようと心に決めていた。
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