詩の日めくり 二〇二〇年十三月一日─三十一日/田中宏輔
 
ことを思い出したからだ。当時、祇園の家は、祇園会館の真ん前にあって、3階建てのビルだった。一回でブティックと喫茶店をしていた頃の話だ。懐かしい。


二〇二〇年十三月二日 「大学生のお兄さん」


 懐かしいといえば、河原町の映画館のまえで、ぼくと弟がけんかをして、ぼくが弟に向かって頭突きをしたのだけれど、弟がさっとよけて、ぼくが頭突きをした場所が映画館の写真を貼り付けてあるガラス張りのケースの角で、ステンレススチール製の角で頭を切って、ぼくは血まみれの頭をして、倒れてしまったのだけれど、そのとき、見知らぬ大学生のお兄さんが、タオルをもっていて、それをぼくの頭にあてて、ぼくの住所を訊い
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