別離セキュリティ/蝶番 灯
あたしがもうあたしじゃないと
知ったのは昨日の事だった
「私ハ誰デスカ」
君が好きだって
何回言ったか覚えてるかしらね
でもきっと あたし
君のこと本当に好きではなかったのかもしれない
あたしはあたしでいたかった
あたしを殺したのは あたしだった
引き摺っていた中途半端
君が居るだけであたしが壊れて朽ちていく
あたしが本当の名前に相応しく生きていくには
君を断ち切る他
無かったんだ
「許シ、テネ」
君が好いと思えない
あたしもそう思えない
ねぇ
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