一個の憎悪/葉leaf
 

真夏の休日
妻子が実家へと避暑に行った
私は私の家へ一人取り残されて
くっきり一個の憎悪となった
妻子はやさしいかすがい
私を世界につなぎとめてくれていた
妻子が不在の今
私は世界の限りなく遠方へと解き放たれ
激しく世界を憎んでいる
遠い日 青春の日
私は人を憎み 社会を憎み 世界を憎んだ
その遠い日がこの真夏の休日
再びおもむろに回帰し
私の憎悪を真っ赤に燃やしている
私は一個の憎悪
さびしく絶望した弱々しい憎悪

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