きみの子午線をたどる旅/ただのみきや
に
こころだけハリセンボン
精一杯ふくらんで
鏡の前でニッコリ笑う
そんなきみが大嫌い
ウソウソ本当は好きだから
針でつついてあげる
ほらパーンと弾けて
辺りは皆殺し
でもこころだから
こころの中だけ皆殺し
*
開いた本の上を
ダニが歩いていた
見開き左右
記号で出来た二次元の街を
赤い点が移動する
ペン先が禍となって
天からダニを襲う
逃げ回る
ナスカの絵のように
大きすぎる迷路に
戸惑うこともなく
難なく直進して
だがなん度目かの禍で
ダニは圧死した
微細な体液の
生と死の捺印と
わたしの愚行により
頁は汚されていた
物語とは関係のない
物語のために
数秒間それは
意味を失していた
そんな記号の羅列
二次元の廃墟を
わたしたちは駆け抜けたのだ
《2022年7月2日》
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