きみの子午線をたどる旅/ただのみきや
 
一房の秘密が落ちていた
甘くぬかるんだ午後の与太話の上
なんの理由も縫い付けられないまま
傷も見当たらずまだ温もりを感じさせる
カワセミの骸のように
掌でそっと包みたくなるような
それでいて人目が憚られて
黙してうつむく野の花へ
しつこく求愛する蝶のように
眼差しだけ忙しなく
ふれたり はなれたり
すると溺れていた一匹の蟻が
わたしの嫉妬をよそに縋りつき
襞の隙間を縫うように
香りの源泉を探り始めた
やがて蟻は一匹また一匹と増え
黒い文字の渦となってそれは
もう死者の頭部にしか見えなかった
かつて心臓だったものが
かたちのない性器へと変わってしまう
言葉にし
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