ふるえる秒針/ただのみきや
 
言葉の仮面をつけて
詩のようななにかが四肢を点滅させる
素足の子供らが光と影をくぐり抜けて
遠い落日へ吸い込まれてゆく
記憶の感光 夏に燃やされる手紙の束


夜を転がるビー玉ひとつ
イメージ そこにあってそこにないもの


鬼はすらりとした脚で去って行く
仔犬が後を追いかける
仔犬は鬼からこぼれた心臓だ
角を持つのも悪くない
番の鴉に追い立てられて
わたしはさまようひとつの声だ
像を伴う声 声を伴う像ではなく


あの星の光は過去のものか
では今とは この瞬間とはなにか
山岳地帯に咲いたノートから
飛び去ってゆくマ
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