それは素粒子よりも細やかそれはあやとりそれは贈り物/武下愛
 
れぞれの全素がゆっくりと一つになってティアドロップ。空間に落ちて輪を伝えて私達をなぞる。冷たくて噛み砕ける硬さではなかった。輪郭でなめて溶かし、流れ出るほど溜め込んだエネルギー。微光草。湖面鯨。宙母。兆陰花。極華鏡。晶月。黒陽。空気水。雨花。草は種だった。鯨は泣き虫だった。母は溺れていた。花は光っていた。鏡は曇っていた。月は死んでいた。陽は冷たかった。水は石だった。花は茨だった。これからも駆けていく言葉を、問わずにいますように。
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