詩の日めくり 二〇二〇年十一月一日−三十一日/田中宏輔
 
れる男の話。本人にはっきりとした記憶はないが、自分は老人ではないと思っている。しかし、施設側のアンドロイドたちは、彼を終末処理すべき老人として扱う。老人問題と安楽死の関係が興味深い。

 12作目は、トム・ハーゾグの「陰謀」夫を殺そうとしている妻。電気髭剃り機に忠告を受ける夫。殺されかけていることに気づく夫。偶然の手違いで夫が死んでしまう。どうしようかとヘアブラシに尋ねる妻。口をきく電気髭剃り機やヘヤブラシというガジェットがおもしろかった。


二〇二〇年十一月二十九日 「伊藤浩子さん」


 伊藤浩子さんから、詩集『数千の暁と数万の宵闇と』を送っていただいた。前詩集の実験性を経た
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