白い蝶/ただのみきや
露にたわんだ蜘蛛の巣を吐息まじりの言葉でゆらす
肺の風琴 あばらの木琴
こころの洞に張られた弦に
触れるようで触れないような
白い蝶がふわふわと
先細る意識の果てに向日葵の燃えさかる丘がある
アリジゴクがウスバカゲロウに変わる時間
その身に刻む名を待ちわびる
四角く切り出された御影石の時間
永久にたゆたう海原に
浮かぶ小舟の懐中時計
見送られるか結ばれるのか
いつか止まれば写真の人と
*
落胆の背中が割れて羽化をした
鳴けない蝉の蒼白さ
引っ掻いても引っ掻いても
ウイスキー色した残像からは
グラスハープの響きはなく
苦いこだまが返
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