深淵と青空/
ひだかたけし
ぱっくりと
無の深淵が口を開く
僕はただ宙づりで
空の青みを凝視する
いつか紺碧が割れるのを
澄み渡る宇宙が開けるのを
清明がたましいを充たすのを
遠く隔たり祈りながら
〈何も無い〉不安に震え
胸奥のわだかまりを抱えたまま
ただひたすらに、ひたすらに
外へ外へと逃れながら
無明の闇夜が朝に目覚める
夢見る精神を襲う、
この見知らぬ力、不安
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