透過の雨/ホロウ・シカエルボク
 

欠けた刃物のガラクタが
陳列された
壁紙の剥げたじめついた地下室で
グラム・ロック、あれやこれや
わずかに
外界と繋がる
窓に
朝が
遠慮がちに訪れるまで

二匹目に通り過ぎた
チョコレート色のゴキブリは脚が足りなかった
そのせいで
コマ送りのような動きだった
前時代的なシステムで
録画されたかのようなその虫を
俺は
どうしても嫌いになれなかった
だからわざと立ち上がるふりをして
そいつがどこかに消えるのを待っていた
二日くらい前の話さ

詩集とレコード、その中で
たくさんの心を知った気になって
結局俺は一人だった
ドラマは印象に過ぎない

[次のページ]
戻る   Point(1)