囚われのエインスベル(十)/朧月夜
「あなたがエインスベル様を助けるというのは、どうですか?
リーリンディア監獄の秘密をお教えくださいませ」
落ち着き払った瞳をして、ヨラン・フィデリコが言う。
「秘密とは何か? 何をもって秘密と言うのか?」
リグナロス・アルテは明らかに動揺していた。
ヨラン・フィデリコは、鋭敏にそれを見抜く。
(やはり、この監獄には秘密があるのだ)
ヨラン・フィデリコは相手を探るようにして言った。
「この監獄からは、なぜ誰もが脱出できないのですか?
何か、未知の結界でも張られているのでしょうか」
「エインスベル様の従僕ごときが、それを知ってどうするというのか?」
「もちろん、エインスベル様を脱出させます。
それにはあなたの協力が不可欠なのです」
「うむ、エインスベル様には生き永らえてもらいたい。それが国のためだ……」
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