一歳/葉leaf
君は一つの円環を閉じた。満足と倦怠と安らかな眠りとともに、小さな心臓の鼓動の頂をたくさん残して。その一つの円環の中で、君はさまざまに人間だった。常に大地と一体であるがゆえに大地を知らない人間、大地と空のはざまでの息継ぎを覚えた人間、空に向かって声を投擲する人間。君はそのねじれた円環を織りなおすように、今ここに一歳の誕生日を迎えている。
君はこれから感じることはできても形のわからないものにたくさん出会っていく。それらは一見明確に形を持っていてもその本当の形は決してわからない。君の視覚はどんどん研ぎ澄まされていくが、それと比例するように感じたものを貪欲に感じつくしていけ。この不定形な世界に不定形
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