DNA/ひだかたけし
 
雨降る夜に
裸体を曝し
けぶる地平へと
走っていく
滾る思いを
冷雨に濡らし 

逃れられないと分かっていながら
夜闇のなかを走っていく
ひたすらに、ただひたすらに
無数のヘッドライトの猛迫に
囲まれながら崩折れる
それは甘美な雨夜の一時

そうして私はまた独りになる
そうして私はまた独りになる

雨降る夜に
裸体を曝し
けぶる地平へと
走りながら
滾る思いを
冷雨に濡らし 

わたしは救われない
わたしから逃れられない*

夜闇の蠢き、脈打つ鼓動
限り無く、果てし無く
意味を剥奪された
大地が広がる










*ビリー・アイリッシュ『NDA』より

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