文化会館の用具箱の隅に残されていたいくつかの書き置き/ホロウ・シカエルボク
祖父が微笑むのを見た
目印のようなチューインガムのなれの果て、ズタズタのゴム草履が懸命に目指していたどこか
日向のなかで感じたいくつかの目眩は、なくしたものたちの
別れの言葉をかんじていたのかもしれないと
どぶ川で仰向けになった
自転車の上で白鷺が紙芝居のように語る
わたしは飴玉をひとつ舐めながら
ビートルズの歌をハミングする
レボリューションだなんて
見てごらん
これは魂の枷に過ぎないんだ
刃先の欠けた包丁の切れ味など
それを手に取ったものにしかわからないはずじゃないか
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