文化会館の用具箱の隅に残されていたいくつかの書き置き/ホロウ・シカエルボク
たのは
葬式のようなものだったのかもしれません
本当には読まれていない絵本のこと
わたしの胸中を駆け巡る忌々しい蕁麻疹のこと
ぱっぱっとマグネシウムのような明滅は
影が記憶している太陽のかたちに違いない
妙に強張った靴を履いて
およそ誰にも出会うことのない通りを歩いた
魑魅魍魎はわたし自身なのだ
それが証拠に
この両の腕にはたくさんの紋様が刻まれているではないか
朝焼けが鬱血の色になるころに
最後まで聞くことが叶わなかった約束が破裂のような悲鳴をあげる
いつだって一斉射撃のような
雨が身体を貫く幻影を見ている
その輪郭には但し書きが残されていなかった
だからこう
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