やちまたの記/おろはげめがね
 
た茫洋と海を眺める
天国に旅立ったあの人たちの歌の事
心の奥思い出すたびに落ちる青い涙
黄泉の国にお見送りするのは今はまだ
この世とあの世の狭間にある白い浜辺
来ぬ人を待つ事に費やした青春
あの子がひとりで遊んでいたのはなぜ
しばしの別れを惜しむ寂寥の潮風
刻々と病んでいく黄ばんだ太陽
切り取られ落ちていく絵画の様な感情
叶うはずもなかったかつての淡い願い
請い願い後生大事にまた冥土の土産
爽やかな雨だれや陽だまりがこのあばやらに
降り注ぎ日の光すきとおり満面の笑み
メリーゴーラウンドのように季節は巡って
雨あられ春嵐のあとどうぞまたご覧あれ
五月の末に芽吹き咲いたまばゆい生命の色
ぬばたまに輝く漆黒の夜の夏空
十六夜が誘う少し欠けた秋の月
固く閉ざされた冬のくろがねの様な悲しみ
春また来てやちまたで待つ懐かしいあの人に
また会えて嬉しいよ再会の喜び

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