昔日の面影/おろはげめがね
い想いにだってあるんだ
その一つの言葉にも思いやりがあって
浅い川べりのせせらぎのように優しい
お気に入りの詩集や
音楽に向き合うように
いつか大切な誰かと
いつまでもおしゃべりをしたいよね
さあ、これからどうしよう
たしかあの時も季節は秋で
そんな紅葉の頃に茫洋とした気分で
紅潮した頬みたいな色の落陽の様な
人生の黄昏を眺めていた
ひっそりと鄙びている寒い港でのこと
火のような静寂がぼくたちを包んだね
街灯はぼんやりと寂寞たる影を落として
かつて賑わったであろう街角を
照らしていたよね
そう、もう大丈夫なんだよ
何も心配する事はないんだよ
かつての嵐の様な苦
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