少しひねるだけで/竜門勇気
ていく
ガソリンスタンド
ドラッグストア
ついに諦めた連中が
踏ん切りを付ける場所
僕は壊れたカーラジオを
殴りつけて破けた皮膚を
覆うための布とウィスキーを
一本レジに運んだ
初めての事が必要なんだ
妄想の中で開ける瓶
空想の口の中で感じる味
一人で行くためには
雨は少しひねるだけで
やたらとたくさん濡らすんだ
だからほんの少しのつもりで
みんな傘を忘れて歩く
着心地の良かった服も
白く冷たい靴も
誰かとは歩かないと決めたときに
ずっと優しくしゃべるようになった
初めてのことが必要なんだ
行ったことのない場所
消えていく見送り
誰かを待ってる人の
がっかりした顔
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