炎天下と青空/末下りょう
 
れた班に混ざり、モニュメントにこびりついたハトの糞を知らない人たちと一緒にたわしやブラシを使って磨いた
「どうせまたすぐ糞まみれにされますね」と、しゃがんで懸命に掃除する隣の人に話しかけてみると、「トイレ掃除みたいだね」と返事が返ってきて軽く笑いあった

久々に持てる力を出しきったせいか支給されたペットボトルはあっという間に空になり、「お疲れ様でした」と入れ替わり立ち替わりねぎらいあい、年配のベテランさん達にはまだまだ余力がありそうで、感心しながら会釈して一足先にその場を離れた

掃除道具の入った水色のバケツを握力の戻らない手に持ちかえながら降りていく階段の途中でなんとなく振り返り、太陽が輝く休日の公園にそびえ立つ銅像を見上げると、生い立ちの説明を受けてもあまりピンとこなかった「英雄さん」と呼ばれていたチョンマゲ姿の人が、ぼくの住む町をまっすぐ静かに見つめていた


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