蝶を咥えた猫/ただのみきや
 
かるみに頬をあずけて夢を見る
蜜蜂でいっぱいの頭の中で水晶が響いていた


           緑の伽藍の秘め事
  重なりあい触れあう葉のかそけき囁き
 めぐる視線がいっぱいに含んだ雫の輝き
    固い壜の蓋をあけようとしたまま
             手は煙になる


すき間なく雲に包まれて
足跡を残さない男の時間を飲み干した
土は笑う
瞑ったまま傷口を光らせて



                 《2022年5月28日》








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