囚われのエインスベル(一)/朧月夜
 
そんなエインスベルにも、一人の心強い味方がいた。
それはオークの傭兵団の団長、エイミノア・ラザンである。
エインスベルは身の回りの警護のために、数名のオークを雇っていた。
エイミノアは国内の内実について、国外の情勢について、彼女に報告する。

「祭祀クーラスの動向を諮るに、事態は急を要すると存じます。
 しかし、エインスベル様、あなたは次元跳躍の魔法が使えません。
 ここから脱出にするには、ヨラン・フィデリコの力が必要でしょう」
「そうか。ヨランは協力してくれるだろうか?」

「多分、ヨランは貴女の命を助けるためなら、身を削ってくれるでしょう。
 この牢獄は、転移魔法を退けるために、闇の結界を張っているのです。
 しかし、その他にどんな罠が張られているか……」

「結界の有無については、わたしのほうでも調べられる。
 精霊たちの加護を付与すれば良いのだ、しかし、
 事態はそんなに差し迫っているのか?」エインスベルは落ち着き払った声で問う。
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