町の噂/soft_machine
め
向かってくる木馬を一頭づつ打ち砕こうか
いつからかぼくの中で泳ぎ回るちいさな鯨が
ささくように
硫黄色の潮をふき上げ
わずか十四平方粁しかないこの町で
知らない名前とすれ違う難しさに較べれば
生地の内側から塞ぐ個人的な
ひっそり旅する惑星は
淡紅の長尾をひろげ
青白くふくらむ面差しを迎える
次の角でひょっこり現れる
人形の輪郭を指でなぞる
ここで未来が影を宿した記念館なんだって
大抵の暴言は聖句の粗悪な複製
だなんて言ったらきみは泣くだろう
きみの経験に真実の暴威が無いから
無邪気に悪意そのものの美を称えられる
だなんて言ったらきみはナイフを抜くだろ
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