〈根源悪〉の原体験/異邦の恐怖(改訂8)/ひだかたけし
 
ラガ ウゴメキハジメル

)辺りにいつのまにか響いている
)ヴゥーという低いモーター音と共に

ト唐突

ソレラが
無数のザワメキとナッテ
一斉に立ち上がり
一気に私の中に
雪崩を打って
侵入して来る

このままではじぶんがじぶんでなくなってしまう
じぶんガかれらニ奪ワレテシマウ!

私はもはや夢も現実も錯綜した混沌のなか
じぶんの名前をひたすら反芻しながら
半狂乱にナッテ脱出口を探す

逃げなければ
かれらカラ逃ゲナケレバ!

  *

気付くと私は、廊下にうっ伏している
両手を合わせ握り締め荒い息を吐きながら

)どうしたの、たけし?

急に頭上から声がする
母親のいつもの落ち着いた声

途端、私は理解してしまう

)この人にはボクの恐怖は絶対分かってもらえない

同時に、
救いようのない絶望感が私を貫く
肉を魂を貫く絶望が






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