ひとりで歩いた道のことしか覚えられない/ホロウ・シカエルボク
 
れるための言葉たちの最後尾に並ぶんだ、そいつがはっきりとした形を、意味を持つ前に吐き出さなければならない、生まれたての言葉はたくさんの意味を持つことが出来る、時間が経ってしまった言葉はだんだんと含むものが少なくなる、血液と同じさ、冷えれば固まり、黒く変わってしまう、そうなる前に新しい一行を並べるんだ、スピードに乗って、拾い上げたものを瞬間の判断で並べていくんだ、それは一秒ごとに意味を変えてしまう、書きつけたときには書こうと思っていたものとは違っているのかもしれない、でもそんなこと確かめる術はありはしない、俺は言葉を並べるときには思考には頼らないから、それをすると途端に言葉はつまらないものに成り果て
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