鼓笛隊は反旗をひるがえす/ただのみきや
 
ひとつの声が磔にされた
影が七つ震えていた
見つめるだけで魚の群れを孕み
蒼いシーツをまとって巻貝を奥へと遡るひと
血を流す鍾乳石
鏡自身の顔 
その微笑み
宝石箱に喰われた指
そのクスクス笑いの匂い


ガラスの木霊が太ももに刺さっていた
あばらには紅い糸が
まつ毛には野焼きの煙が
いつまでも絡まって
記憶は歌い
歌は踊った
夢中になって戯れて
ゆっくりと花のよう
開いてゆく姿態
見えないなにかと抱き合って


磨き上げられた無言があった
人々は群れて山になった
裾野が広がっても標高は変わらなかった
折れ曲がった言葉

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