花と終わりの迷路/木立 悟
いる
何かを言うたびに花は散り
何かを言うたびに世界は揺れる
にぎやかさ さびしさが水に映り
水は流れ まわりまわる
にぎやかささびしさは変わることなく
まわりまわり まわりつづける
虚ろな稜線と稜線の重なり
春の寒さに降りそそぐ糸
どこまでもどこまでもどこまでも蒼
何も聴こえない宵の径の端
膝の上に落ちる命
その軽さのために祈りつづけ
聴こえない雨 聴こえない夜
朝陽に溶ける壁を置いてゆく
器の重さに腕は沈み
光の粒のひとつに触れる
うたと花と笑みの迷路
器を持たない手のひらに咲く
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