青い街を行く(改訂)/ひだかたけし
ひろびろ青がひろがって
鳥の群れが行き過ぎる
街は熱波に曝されて
子らの午睡を浅くする
*
ちから抜けちから抜け
胸にわだかまる戦慄を
呑み込みおれは街を行く
こんなにひろびろと青いのに
嘔吐しそうな不安感が
茫漠と行く手を覆っていく
(ロラゼパムを二錠飲む
せいしんあんていざいというやつだ)
むせかえる、むせかえる
蒼い息吐きむせかえる
死への願望を乗り越えて
こころの野辺を真っ直ぐに
進めば見える浄土にも
綿菓子のような白雲漂い
どうにもこうにも掴み所がない
どうにもこうにも行き場がない
何かを置き去りにしてきたような
やりきれない思いだけ
ふっとこころに去来して
おれは路傍にうずくまる
しろくおののきうずくまる
*
ひろびろ青がひろがって
午睡の子らが目覚める頃
街はいつもの相貌で
不安に過ぎるおれを視る
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