連合軍の反撃(十三)/朧月夜
アースランテの兵士たちは、すでに九割ほどまでにその数を減らしていた。
「魔導士どもよ!」エリス・ガザンデが怒声を発する。
「クロノス・アリ・アランの呪文は使えるか? 敵兵だけにかけてほしいのだ」
クロノス・アリ・アランとは、自分自身の影が己を攻撃してくるという呪文である。
「ある程度の実力を持った魔導士であれば、可能でしょう」
正魔導士の一人である、ハミル・エンディアが答える。
「では、そなたに魔導部隊の指揮を任せよう。それと、
メゾポンテを召喚してほしい。出来るだけ敵部隊を混乱させたいのだ」
「それでは、我が軍にも被害が出る可能性がありますが……」
「かまわぬ。メゾポンテは少数で良い。後は、歩兵部隊がなんとかする」
「それでしたら、五体のメゾポンテを召喚いたしましょう」
ハミル・エンディアは、この事態下にあっても冷静だった。
彼は、同じく正魔導士であるガラコ・クロスに命じる。
「そなたらは、敵兵たちにクロノス・アリ・アランの魔法をかけよ!」
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