連合軍の反撃(十二)/朧月夜
 
アースランテ軍の頭上からは、炎の塊が降ってきた。
これは、ゼークト・ウラガ・ザインという範囲魔法である。
この魔法が命中する度に、数十名の兵士たちが犠牲になっていく。
「全員、走れ! 乱戦になれば連中は範囲魔法が使えない!」

「それと、四分の一ほどの前衛部隊で良い。炎への耐性を付与せよ」
エリス・ガザンデは、確実に命令を出していく。
さすがに、彼はアースランテの軍団長に任命されるだけのことはあった。
シュティンガルト・デイは感心する。「これがエリス様の指揮か……」

エリス・ガザンデはいち早く敵の前衛へとたどり着いた。
そして、連合軍の先陣である黒色槍兵団と刃を交える。
その間、残りの兵士たちは、降り来る炎のなかを走っていた。

「ゼークト・ウラガ・ザインが効かぬな。それでは、ヨーラ・テルでは?」
ラゴスやクールラントの魔導士たちも、臨機応変に対応する。
アースランテの軍団は、今度は雷撃の魔法によって命を落としていった。
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