連合軍の反撃(三)/朧月夜
 
連合軍不利の報せは、クールラントの国にも入ってきていた。
戦士エイソスは、地団太を踏みながら叫ぶ。
「負け戦、負け戦、負け戦……。我々はいつまで我慢すれば良い?
 本当に我が軍が動かなくても良いのか?」

その様子を見ていた、クシュリー・クリスティナが言った。
「ご心配はお体に障ります。どうか、ご自愛を。
 今日入った噂では、ヒスフェル聖国が連合軍に参加したと言います。
 今は落ち着いて、事態を静観なさるべきです」
 
「ヒスフェル聖国が? それは真(まこと)か?」エイソスは問う。
「これは不確かな情報です。ラゴスから逃げてきた商人たちの言葉です」
「ヒスフェル聖国もアースランテの拡大を見過ごせないという訳か……」

「アースランテの兵たちは、ヒスフェル聖国の魔導からは逃げられないでしょう。
 情勢は一変すると思われます」聡明なクシュリーが言う。
「ここは国王の決断を待つことにしよう。しかし、いつでも出陣できるようにな」
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