私たちの近道/りす
たまには近道を通ったほうがいいと
私の手を引いて 導く人がいる
私は
どこかへ行こうとしているのか
どこかへ帰ろうとしているのか
その人に 手を握られ 腕を引かれた瞬間
わからなく なってしまった
その人の手は小さくて 強く握ったら
ウズラの雛ように 潰れてしまいそうだった
その人の手は冷たくて その冷たさを
恥じるかのように 指先だけで 私に触った
近道というのは
近い場所への 近道なのか
遠い場所への 近道なのか
騒がしい空を見上げると
小鳥の群れが木から木へ 木から電線へと
忙しく飛び回っている
小鳥たちはみな片翼で
片翼なのに どうして自由
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