ヒスフェル聖国参戦(十三)/朧月夜
「それより、ヒスフェル聖国からの兵の数は五千だと聞く。
本当にそれでアースランテの軍勢と戦えるのか?
フランキス・ユーランディアは憎々しげに呟く。
それに対して、エミル・アザルはかすかな笑みをもらした。
「ヒスフェル聖国は謎が多い。しかし、その兵士たちは、
皆魔導士のようなものだと言われている。そして、五人の正魔導士がつく。
彼らは、皆聖王から下賜された魔法石を所有しているそうだ」
「それでは、ナハテ・ガルを戦場にしても、十分に戦えそうだな」
「そして、これは内密な話なのだが……」エミル・アザルは声をひそめる。
「ヒスフェル聖国はファシブルと盟約を交わしているらしい。
すなわち、この戦争の間はアースランテに攻め入らない、と」
「何? それはどんな盟約なのだ。誰に、何に、どんな利益をもたらす?」
「それよ。ヒスフェル聖国は、すでに戦後のことを考えているのだと思う」
エミル・アザルは思慮深げに答えた。
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