ヒスフェル聖国参戦(九)/朧月夜
その前日、「ナッチ・アカリ」と呟くと、部屋の照明が灯った。
オスファハンは一人呟く。「兵士の数は問題ではない。
問題は、どこまで勝つか、勝たないかなのだ。そのためにこそ、
このヒスフェル聖国は数百年の間、鎖国を貫いてきた」
「聖王にもライランテを治めたいという野心がないわけではあるまい。
それは我々魔導士とて分かっている。だからこそ、
我々は密かに身を隠しているのだ。この今、
どれだけの魔導士たちが協力してくれるだろう?」
「ほとんどの魔導士たちは、アルスガルデの二の舞は御免だ」
と、言うに違いない。オスファハンはそれを確信していた。
「真の平和を望む者だけを集めなければ。それは至難の業だが……」
自分の築いてきた知人網を、オスファハンは活用するつもりでいた。
彼らは皆平和主義者である。平和のための戦争、すら拒否するかもしれない。
「しかし、声だけはかけてみよう」オスファハンの部屋の明かりは消えた。
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